2026/09/11 18:00
FouRTe Projectが、8月14日にZepp DiverCity(TOKYO)で【FouRTe Project 1st LIVE "ALL IN"】を開催した。
ステージにFouRTe Projectの7人――玖音 レオ、朔楽 はるひ、アルテ・ロベルト、剣 翔、翠凰 稜巳、御影 漣、朔楽 はづきのシルエットが現れたその瞬間、割れんばかりの歓声が一斉に上がる。昨年9月にデビューしてから、1年も経たないうちにZepp DiverCity(TOKYO)でグループ初となるオフラインライブ【FouRTe Project 1st LIVE "ALL IN"】開催にこぎつけたこと自体、注目に値するトピックだ。さらに蓋を開けてみれば、会場には2000人もの観客が詰めかけていたから、驚かされた。7人を取り巻く勢いは、決して架空のものではなく、紛れもない本物なのだと。その証明は、彼らが一線級のグループであるかのように思わず錯覚させられた、その場で生み出す流動的な熱と、それに呼応する客席の熱量が導く“解”がそこにはあった。オリジナル曲が限られる中でカバー曲を中心に披露された今年1月のオンラインライブ【FouRTe Project 1st Online Live 『The Beginning of Destiny』】とは一変、今回はライブに間に合わせるために制作されたという、☆Taku Takahashi(m-flo)がプロデュースするデビューアルバム『ALL IN』のオリジナル曲が軸となるセットリスト。いうなれば、FouRTeが“FouRTe”としてキャプチャーされていく、その瑞々しい現在地を捉えたライブになったように思う。
本編は、デビューアルバムの表題曲「ALL IN」で幕を開け、空を裂くような衝撃が走った。青いレーザーが縦横に駆け巡る客席上空。ドラム、ベース、キーボード、ギターの音の飛沫が飛び散るダイナミックな生演奏。メンバーの鼓動さえ聞こえてきそうなほど、張り詰めた空気のなかで響く生歌と生命力あふれるダンス。それらが噛み合い、ステージ上の彼らがやけに眩しく見えた。レオによるアクロバットも相まって、万華鏡を回すたびに色彩や模様が変わるのに似た、7人の斬新なパフォーマンスは観ていて飽きない。FouRTeは、“運命を切り開く”をコンセプトにしたバーチャルアイドルグループだ。それが指し示すのは、7人の運命か、FouRTune(ファンの呼称)の運命か、はたまたVTuberシーンの未来か。広範囲にわたるが、ひとつ確信したのは、彼らは“新たな潮流”を作っていく可能性を十分に持っているということだった。翔の「I love you」や漣「センチメンタル」という決め台詞が光ったアッパーチューン「HIGH↑優勝」やハートを撃ち抜くポーズでアイドルオーラ全開の「マジ恋で無理!」では、生のステージを生かした歌詞のアレンジや声掛けで会場のボルテージが急上昇し、コール&レスポンスが弾ける、弾ける。
思わず心のなかでスタンディングオベーションしたのは、7人がアクロバティックなダンスを繰り広げ、翔とレオがそれぞれ華麗なアクロバットを決めた「DANCE TRACK」。VTuberグループや2.5次元アイドルグループのステージでここまで攻めるのはかなり珍しい部類に入る。だが、ここで一度立ち止まりたい。驚くべきは、ダンスグループとしてステージに立つ彼らの中にはダンス未経験者もいるうえ、もともとはオーディションを勝ち抜いて集まった、何者でもなかった7人ということだ。そんな背景を持ちながら、“先生”とメンバーから慕われる歌担当の稜巳は宝石級とも呼べる歌声であり、一見可愛いが毒舌なはづきも個性が立っているなど、その個々のポテンシャルは疑いようがない。
翔が、奇しくもこの日の夕空にかかった虹に触れ、「おいおいおい、俺らの日過ぎんだろー!」と喜びの声を弾ませた姿もひとつ印象に残った。オーディションの課題曲となった「Cocktail(XYZ cover)」に、新衣装のお披露目となった「キミハナ」。上昇していく音階がドラマティックな「下書きノート」に、翔、アルテ、レオによるハモリが秀逸だった「夢中 -Piano Ver.-(BE:FIRST cover)」へ。FouRTeが届けるのは、歌唱力だけでは語りきれない、人の琴線に触れ、体温まで伝わる歌だった。
この日のライブに向けて7人それぞれが取り組んできた挑戦と、その成果を披露するブロックは、屈指の見せ場になった。曲中で翔とレオがアクロバットを成功させたことをはじめ、「キミがキミでキミだから -Piano Ver.-」ではピアノ未経験のアルテが演奏に挑み、漣が慣れない英語で歌詞を書き上げ、自ら歌い上げる。稜巳は、「100万分の1」をR&B風にアレンジし、フェイクを混ぜながら会場に虹を架けるようなロングトーンを響かせた。はづきとはるひによるラップ挑戦曲「DO PARTY(DOBERMAN INFINITY cover)」も大いに沸き、オリジナルのリリックが会場を彩る。結果の有無にかかわらず、チャレンジすること自体が美しい。未完成だからこそ放てる煌めきは、「エジソンのカステラ」、「キャない?」、「メロサピエンス」といったハチャメチャソングにも散りばめられていた。
FouRTeがこれほどまでに輝いて見えた理由も、後になって気付いた。駆け出し特有の緊張感を孕みながら、脇目も振らず我武者羅に突き進んでいく。彼らのパフォーマンスには、そういう初期衝動が滲んでいたからだろう。誰かを応援したくなる瞬間とは、そんなひたむきで純粋な心に出逢った時ではないだろうか。
ゲストのVTuberグループ「ホロスターズ」の初期メンバーである、奏手イヅルとアステル・レダのふたりが登場し、奏手イヅルの新曲「ハルノヒミツ」では奏手イヅル、稜巳、翔、はるひが、アステル・レダの「A.scort」ではアステル・レダ、はづき、漣がそれぞれコラボレーション。さらにBratt(奏手イヅルとアステル・レダによる音楽ユニット)とFouRTeによる「DADADA」へとつなげた際にも、ゲストのふたりがさすがのパフォーマンス力を見せるなか、FouRTeも持ち味であるダンスと歌を存分に発揮し、堂々と肩を並べた。先輩・後輩の垣根を越えた共演のなかで、FouRTeが引けを取ることなく存在感を放っていたのが印象的だった。
ラスト2曲のタイミングで降ってきたのは、デビュー曲「キミがキミでキミだから」。目まぐるしいフォーメーションチェンジで歌に花が咲いた。稜巳が最後のMCで「ライブは生パフォーマンス、生歌。俺たち自身はもちろん、(FouRTe Projectは)みんなの“生きていてよかった”を誕生させる組織である」と語ったとおり、ライブを終えた頃には、不思議と手足まで軽くなった気がした。フィニッシュを飾った「100万分の1」では、翔が歌い出しから感極まり、声を詰まらせる。<虹がかかって/朝日が差して/100万分の1の奇跡>。この日実際に現れた虹も出会いも、まさしく“100万分の1の奇跡”そのものだった。
涙も、息遣いも、そこに滲む感情もトラッキングの遅延を感じさせない、アバターと連動した身体の動きも。バーチャルの枠から外へ外へと飛び出し、リアルへと迫ってくるようなパフォーマンスの勢いも。バーチャルの奥、FouRTeから生まれていた“人”の熱――それこそが、FouRTeのパフォーマンスを突き抜けたものにしていた。紛れもなく、VTuberシーンに風穴を開ける革命児。そう確信めいたフィナーレだった。
Text by 小町碧音
◎公演情報
【FouRTe Project 1st LIVE "ALL IN"】
2026年8月14日(金)
東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
<セットリスト>
M1. ALL IN
M2. HIGH↑優勝
M3. マジ恋で無理!
M4. DANCE TRACK
M5. Cocktail(XYZ cover)
M6. Band Introduction
M7. マジLOVE1000%(ST☆RISH cover)
M8. 爆裂愛してる(M!LK cover)
M9. キミハナ
M10. 下書きノート
M11. 夢中 -Piano Ver.-(BE:FIRST cover)
M12. キミがキミでキミだから -Piano Ver.-
M13. 100万分の1
M14. DO PARTY(DOBERMAN INFINITY cover)
M15. エジソンのカステラ
M16. キャない?
M17. メロサピエンス
EC1. NEW ERA
EC2. ハルノヒミツ
EC3. A.scort
EC4. DADADA
EC5. キミがキミでキミだから
EC6. 100万分の1
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